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COOLなKYOTO 利田淳司
COOLなKYOTO 利田淳司
この文章は 白川書院発行の
「月刊・京都」NNo.765 2015年4月号
のために執筆し、掲載された文章です。
尚、執筆者プロフィール欄も本誌掲載の
文面通りで記載しております。
『COOLなKYOTO』   『銘竹屋』という商い。二百年ほど囲炉裏で燻された「煤竹」や甲羅の様な姿の「亀甲竹」、白色のプレーンな「真竹白竹」など、建築の化粧材や美術工芸の素 材となる竹を扱う。竹は、伐採された後、火で炙られる等して油抜きの加工をされ、節ごとに矯正が施され、そして厳選され、ようやく銘竹となる。竹を製品と するためには、熟練の技法を用い、手間と時間を要する。
    海外からの見学の受け入れや海外での講演、海外との商談などを通して、竹の可能性を改めて知ることが多くある。接するほとんどの人から漏れる言葉は 『COOL(かっこいい)!』。自然材でありながらも、精度の高い技術で作られた銘竹そのものへの憧れと同時に、四季を敏感に感じつつ繊細な文化を創って きた京都の美意識を想うからなのだろう。
  
   銘竹屋の資質となるのは、一本一本の個性を見極め、用途に適う商材として活きるよう、竹をあてはめること。それが、ようやく解ってきた。そのためには、 「何が、今、COOLなのか」を愉しみ、感性を磨き続ける事、なのだと思う。京都を歩くと、それに刺激を与えてくれる多くの何かが存在していることに気づ かされる。例えば、建築だけをみても、平安期の社寺、室町期の茶室や江戸期の町家、明治・大正期のモダンビル等々、決して古さを思わせず、存在している。 あるいは活用され続けている。内外問わず取り入れた先進のセンス、そして高度な技術と知恵をもって建てられた建築物は、時代の変化に紛れることなく、それ ぞれが今のモノとして、饒舌に語りかける。竹は、古来の材料ではあるが、今に沿った使い方をまだまだ創造できる。強い主張は持たないが、一本の竹が日本を 感じさせる空気をつくる。

   そんな京都の銘竹は、COOL!

   そして、京都の町。京都は、新しいものを吸収しながら、時代を積み重ねてきた。洗練された感受性と、それに呼応する「モノを創る力」。その積み重ねが、 『本物』として、今の時代に対しても、海外に対しても、魅了させるだけの力がある。クリエイティブなKYOYO。それが、京都の持つ潜在的なブランド力。

   そんなKYOTOも、やはり、COOL!

執筆:利田 淳司(かがた じゅんじ)◎1967 年 京都市生まれ。銘竹問屋・( 有)竹平商店(1915年創業)4代目・代表取締役。
関西学院大学法学部卒業後、家業に従事。 NHK海外「BEGIN JAPANOLOGY」をはじめメディアへの出演や、バンコクで開催の「第8回世界竹会議」の開催組織委員を務めるなど、日本の 銘竹の美を海外・国内に向け発信する活動を行っている。竹平商店HP http://www.takehei.jp“